この記事の目次
絵本『ルピナスさん』さんから学ぶ仕事術
「世の中をもっと美しくするために、なにかしなくてはならないよ」
幼い少女にそう語りかけたおじいさんの言葉が、一人の女性の人生を導きました。
少女は夢を抱きます。
「大きくなったら遠い国を旅したい」
「おばあさんになったら海のそばで暮らしたい」
やがて彼女はその夢を実現し、世界を旅し、
その途中、痛めた体の療養のために海辺に住む人生を歩みました。
けれど、それだけでは終わりませんでした。
おじいさんから託された言葉――
「世の中をもっと美しくするために」
その使命を胸に、彼女はルピナスの花の種をまき続けました。
花は季節ごとに咲き、やがて風に運ばれて町中を彩り、
人びとはその町を「ルピナス村」と呼ぶようになりました。
彼女は「ルピナスさん」と呼ばれる存在になったのです。
物語はさらに続きます。
ルピナスさんは、次の少女にバトンを渡します。
「世の中をもっと美しくするために、あなたも何かをしてごらん」と。
経営に重なるテーマ~理念を形にすること
この絵本を読むたびに思うのは、まさに経営そのものだということです。
ルピナスさんは、自分の夢と託された使命を両立させ、
人生を貫く一本のテーマを持って生き抜きました。
ここから学べるのは、
「どうするか」ではなく「どうあるべきか」を問い続けることの大切さです。
理念とは、長い言葉ではなく、短く凝縮された“存在理由”そのもの。
それをどう生きるか――そこに経営の核心があります。
そして理念は、形にするために存在するということ。
このことを、いつも教えてくれる一冊として、お伝えしています。
あなたにとってのルピナスの種は?
ルピナスさんの物語は、私たち一人ひとりに問いを投げかけます。
「世の中をもっと美しくするために、あなたは何をしますか?」
私たちの仕事は、会社の中、職場の中、チームの中で完成されるものではありません。
私たちの仕事は、社会に向かっています。
私たちの仕事が、社会にどんな作用があるのか、どんな変化をもたらしているのか、
会社の中、職場の中、チームだけの小さな世界だけを見続けるのではなく、
時には、「私の仕事は社会にどのように繋がっているのだろう?」と考えることが必要です。
大きなことではなくてもかまいません。
小さな一歩が、やがて誰かの心を動かし、未来へと受け継がれていきます。
あなたにとって、世の中を美しくする“ルピナスの種”は、何でしょうか。

経営者向けの補足
ルピナスさんの姿は、理念経営の縮図でもあります。
経営において問われるのは「どんな戦略をとるか」よりも、「どんな理念を生きるか」。
短いフレーズであっても、本物の理念は人を動かし、組織を導き、世代を超えて残ります。
次の世代に何をバトンとして渡すのか――。
その問いを、この絵本は経営者である私たちに刻んでくれています。
絵本『ルピナスさん』の書誌情報

ルピナスさんはおじいさんと約束したとおり世界中を旅行して、海辺の小さな家に住み、3つめの約束「世の中を美しくする」ためにすてきな魔法を思いつきました。(出版社のHPより)
『ルピナスさん』
作 バーバラ・クーニー
訳 掛川恭子
出版社 ほるぷ出版
発行 1987年