ここでご紹介する絵本のエッセイは、
すでに、情報誌・他のsnsなどでも公開したものを、
メルマガように加筆してお届けしています。
『でんごんでーす』
なぜ、職場において「情報が正しく伝わらない」という問題が生じるのか!
この問いはぜひ組織の中で対話の話題にしてほしいのですが、
ビジュアルナラティブ効果でその探求を深めるだけでなく、
「われわれ」の組織(二人以上は組織と考えて、関係ないない!と読み飛ばさないで~)
そう、
われわれの組織にとって、情報が正しく伝わらないのか?の問いの最適解に導くガイド役に
ぴったりだから、
ぜひ組織に用いてほしいところです。
物語の舞台は電線の上。
ハト、オウム、インコ、ダチョウ、ペリカン、カモ、カラス、ふくろうなど、
実際にはとまるはずのない鳥たちのシルエットが並ぶ、
印象的な見開きの街並みから始まる絵本です。
お話は、ハトのお母さんの「そろそろ ばんごはんだからかっておいで」というメッセージを、
息子のピーターに届けるため鳥たちが次々に伝言していくもの。
最初にメッセージを受け取った赤い鳥は、次の鳥に
「そろそろ ばんごはんだから ええっと……ホームランをうって、はやくかえっておいで」と伝えました。その鳥は野球のバットを持っているからです。
フライトキャップをかぶった鳥は「ひこうきにのってかえっておいで」と次の鳥に伝えます。
このように、各々の関心に応じて伝言が変化し、ついには原型を失って意味不明になっていく。
ほんと絵本ならではの、おかしみを味わえます。
訳者の林木林さんの訳がきらりと光る絵本です。
ただ、これはもしかすると、情報が組織内で正確に共有されない要因を視覚的現わしてる?と思うと笑えない展開でもあるけど、人のことはとにかくおかしい。
さて、ピーターのもとにはどんなふうに伝わったのか。
それは、実際に絵本を読んでのお楽しみです。
ぜひ書店でお求めください。
さて、ここから、絵本でマネジメント探求していきましょう。
伝言ゲームがうまくいかない理由の一つとして、
人が情報を自分の関心や経験に重ねて解釈してしまう傾向があることを学ぶことができます。
こうした現象は、心理学者フレデリック・C・バートレットによるスキーマ理論、
「人は情報をそのまま記憶するのではなく、自らの文化的背景や知識(スキーマ)に基づいて再構成する」から読み取ることができます。

記憶は常に変化するのに加えて、
相手は自分の物差しで言葉を捉えています。
受け取る情報に違いが生じやすいのは当然のことです。
そこで、この絵本の登場。
絵本のビジュアルナラティブの力で、物語の中で生きることができるのです。
つまり、発信者と受信者共通の視覚的・情緒的背景が出来上がり、「あの絵本」の「あの言葉」「このシーン」と同じ世界を体験できます。
体験を共にすることで、
認識のズレが減り、
共通理解の形成が促され、
最適解へと導く対話ができます。
今回の対話のテーマは
「なぜ、職場において「情報が正しく伝わらない」という問題が生じるのか!」
もう自分たちに合った、対策、思いつきましたよね。
感情に訴えても、現場が動く・変わる、新しい仕組みがないと、
絵本を用いる真の効果にはなりません。

『でんごんでーす』
文:マック・バーネット
絵:ジェン・カラーチー
訳:林 木林
出版社:講談社
発行:2015年